秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
『ひとり立ちしていくのが寂しい』なんて口にした彼だけど、すごく優しい顔で微笑んでくれたから、それでも喜んでくれているはずだ。
自分の不出来に落ち込むこともあるけれど、こうしてひとつずつできることを積み重ねるしかないと、気合を入れ直した。
その日は自分のやるべきことがわかった気がして、ウキウキした気持ちで帰路についた。
いつもの駅で降りて家に向かって歩き出すと、突然目の前に人が現れ驚いた。
「悠里」
「どうして、ここに?」
それは、紳だった。
「少し、話がしたい」
そんなこと言ったって、私は話したくない。
「ううん、話すことなんてない。ごめんね。それじゃあ」
「待って」
歩きはじめると、腕を引かれてつかまってしまった。