秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「奈津とあんなことになって……本当に悪かったと思ってる」
そんなことを今頃言われても……。
「そう。もう終わったことだから」
伊吹さんのおかげでやっと前に進めたのに、会いたくなんてなかった。
「あれからお前、俺のことを避けるから、なにも言えなくて……」
「避けるって、当然でしょ?」
思わず反論すると、彼は神妙な面持ちで頷いた。
「そうだな。当然だ。だけど、奈津に本気だったわけじゃない。あの日は一緒に飲んで……飲み過ぎてしまって、気がついたら奈津と一緒にいた」
そんな言い訳聞きたくない。
飲み過ぎて奈津を抱いてしまったから許せとでも?
「ごめん。もういいから。聞きたくない」
未だ胸に残る傷が開いてしまう。
私は再び歩き出した。
それなのに紳は隣をついてくる。