秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「おはよう。随分早いんだな」
「はい。今、コーヒーを淹れますね」
バッグを置くとすぐにコーヒーのセットを始める。
その間も、紳の顔がチラついて頭から離れない。
「悠里、顔色が悪いぞ」
私のところまでやって来た伊吹さんがそう指摘するから首を振る。
「大丈夫です。ちょっと考え事をしていたら眠れなくて」
「考え事?」
しまった。余計なことを言ってしまった。
「いえ、なんでもありません」
私がそう返すと、彼は私の額に手をあてる。
「熱はないようだ」
「……はい」
ほんの少し触れられただけなのに、途端に全身が熱を帯びる。
「今日、帰ったら事情聴取だ」
彼が耳元でそう囁くから、目を丸くする。
「あっ、ホントになんでも……」
「おはようございます」