秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「勝手よ……」
私を苦しめておいて、疲れたって。
でも、奈津の気持ちがほんの少しわかる。
誰かの幸せを壊して自分の幸せを手にしても、心から喜べない気がするからだ。
そして、その次の一文に目を見開いた。
【私は宮城不動産を去ります。
もう一度いちから始めます。
いつか悠理のように『前だけを見て、進んでいます』と胸を張って言えるようになりたいから】
「奈津……」
まさか辞めるなんて。
彼女は不動産の仕事にやりがいを感じていたし、ステップアップのための研修にも積極的に参加していた。
その彼女が……。
【許してほしいなんて言いません。
一生、自分のしたことの愚かさを反省しながら生きていくつもりです。
でも、悠里は幸せになってください。
本当に、ごめんなさい。 奈津】