秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
"恋人"になってまだ数日。
彼は私を気遣ってか、はたまた疲れ切っているのか、まだ私を抱こうとはしない。
交際を受け入れるからには、それも覚悟の上だったけれど、紳とのことでズタズタになってしまった私をいたわってくれているのかもしれない。
だって、本当は肉食だもの。
でも、伊吹さんとは、ゆっくり進んでいけたらいいな。
「どこに行こうか」
私は彼と一緒なら、どこでもいい。
でも、デートの約束をしただけで、気持ちが一気に持ち上がった。
「聡さんおはようございます」
出勤してすぐに聡さんのところにコーヒーを持っていくと、伊吹さんはもうすでに打ち合わせ中だった。
「広瀬さん、おはよ。悪いんだけど、後でこれ、親父に届けてくれる?」
聡さんが私に差し出したのはお弁当箱のようだ。
「あの、これ……」
「親父、誕生日なんだよ。奥さんが今日くらいはって、俺のより豪華な弁当作ってくれてさ」