秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

今日はイタリアン。
チキンのトマト煮込みがメインデニッシュ。

チキンを煮込み始めた頃、伊吹さんが帰ってきた。


「おかえりなさい」

「ただいま、悠里」


玄関まで迎えにいくと、いつもハグしてくれる。
上司から彼氏に代わる瞬間だ。


「もう少しかかりますから、ゆっくりしていてください」

「ありがと」


彼はそう言いながら寝室に着替えにいってしまった。

マカロニサラダも準備していると、着替えた伊吹さんがやってきて、私のうしろから鍋を覗き込む。


「いい匂いだ」

「ピーマンも食べてくださいね」

「そんなイジワルなことを言う悠里には、お仕置きが必要だな」


彼はそう言うと、素早く唇を重ねる。
それだけで頬が赤く染まる私は、なにも言えずにただ俯いた。
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