秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

翌朝は、ちょっと早く起きすぎてしまった。
もちろん、デートが楽しみだったからだ。

これでは子供の頃の遠足の日と変わらない。


すぐに顔を洗い朝食の準備をしていると、伊吹さんも起きてきた。
静かにしていたつもりなのに、起こしてしまったかもしれない。


「おはよう。早いな」

「おはようございます。ごめんなさい、まだ寝ててください」


今週も残業だらけだった。
休日くらいゆっくり寝なければ、体が持たない。


「平気だよ。今日はデートだしな」


彼はそう言うと、私を抱きしめキスを落とす。

毎朝のスキンシップ。
でも、照れくさくてうつむき気味になってしまう。


「顔洗ってくる。コーヒー淹れてくれる?」

「はい」


洗面所に行く彼のうしろ姿を見ているだけで胸が熱くなってしまうのは、あの優しいキスのせい。
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