秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「少しお待ちください」
保留のボタンを押し、席を外している高畑さんの所在を他の秘書に確認すると、別のフロアに行っているらしい。
「お待たせしました。申し訳ありません。只今高畑は席を外しておりまして、折り返しお電話させていただきます。念のために、ご連絡先を……」
『そう。それならいいわ。今晩空けておいてとだけ伝えてくれる?』
梶さんの言葉に、ドクッと心臓が大きく打つのを感じる。
今晩って……仕事?
光川物産社長との予定は昼だけで、夜はなにも入っていないはず。
「かしこまり、ました」
それでもそう答えることしかできず、電話を切った。
それから十分ほどして、伊吹さんが帰ってきた。
「高畑さん、先ほど光川物産の社長秘書、梶さんからお電話がありました」