秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「お疲れさまでした」
「お疲れ」
心なしか疲れたような顔をしている彼にコーヒーでも淹れようかと思ったのに、彼はデスクの上を片付け始めた。
「広瀬、悪いが今日は先に失礼する」
「はい。お疲れさまでした」
彼がこんなに早く帰るのは珍しい。
茫然として彼を見送りつつ、『今晩空けておいて』という梶さんの声が頭の中でリフレインする。
するとそのとき、デスクの上の内線が鳴った。
「はい。広瀬です」
『お疲れさま。高畑さんいる?』
それは聡さんからだった。
「すみません、先ほど帰りまして……」
そう言いながら、聡さんが今日の光川物産社長との会食に、『高畑さんが行くんたよね』と念を押してきたのを思い出した。
『えっ、仕事人間なのに、珍しい』
「そう、ですね……」