秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
『それじゃあ、広瀬さん、ちょっといい?』
「はい」
私はすぐに聡さんのところに向かった。
「ごめんね。あのさ、高畑さんにもらった資料のことなんだけど、広瀬さんでもわかるかな?」
聡さんはすぐに私に資料を差し出して、説明を求めた。
「はい。これでしたら私が探しましたので」
「よかった。この売上げのデータ、どこから持ってきた? もう少し内訳を知りたいんだ」
それから聡さんのパソコンを借りてデータを呼び出すと、「さすがだな」と褒めてくれる。
「いえ。お役に立ててよかったです」
重役に渡す資料はその裏側まで読み込んでおけというのが伊吹さんの口癖。
いざという時に重役に恥をかかせてはならないからだ。