秘書室室長がグイグイ迫ってきます！

「それにしても、高畑さんがこの時間にいないのは珍しいね。いや、もちろんあれだけ働いてもらってるんだから、いいんだけど」

「……はい」


社長はもうすでに帰宅しているとはいえ、まだ聡さんがこうして働いているのに帰るのは異例のことだ。


「あの……光川物産の社長秘書を、聡さんもご存知ですか？」


私が思い切ってそう尋ねると、彼は一瞬視線を泳がせた。


「うん。俺も社長と会食したことあるからね。でも、秘書がどうかした？」


逆に質問されてしまい、慌てて首を振る。


「いえ。先ほど電話を取りついだので気になっただけです。すみません、コーヒーお持ちします」


私は慌ててフロアを出た。


「ふー」


洞察力のある聡さんに余計なことを聞いてしまったかもしれない。
でも、梶さんのことが気になって仕方ない。