秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「それでは、その面会は広瀬が取り仕切れ」

「私、ですか?」

「あちらの常務のことは、よくわかっているはずだ」


もちろん、わかっている。

ちょっとぬるめのほうじ茶を好むことも、一度体調を崩してからは体を気遣い、野菜中心の生活を心かげていることも、常務という仕事柄人に会うことが多いにも関わらず、話すことが得意ではないことも。


「はい。承知しました」


でも、全面的に任せてもらえるのは初めてだ。

グループ内の会食だし、気心の知れている仲だから、いつもより緊張はない。
私ひとりでもなんとかなるかもしれない。


その後もスケジュール調整と電話対応に追われた。


「高畑さん。来週のスケジュール、すべて確認し終えました」

「わかった」

「それと、昨日の原稿、仕上げてあります」
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