秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「でも、遅かったみたい。バカね、私」


もしかして……彼氏と別れたから寂しくて、じゃなく、梶さんはよりを戻したくて伊吹さんのことを誘ったのかも。
でも意地を張って、そう言えなかったんじゃ……。


「梶さん、あのっ……伊吹さんとちゃんと話してください」


私が伊吹さんに恋い焦がれて苦しいように、彼女も苦しいのかもしれない。
私がそう言うと、伊吹さんは目を見開く。


「悠里?」

「伊吹さん、私、外で待ってますから」


あなたが私のところに戻ってきてくれると、信じて待っているから……。


「えっ、そんなこといいのよ?」


梶さんは私に首を振るけれど……。


「私は伊吹さんが好きです。だからずっとそばにいたいです。……これが私の気持ちです。梶さんもちゃんと伝えてください」


私は彼女にそう伝えて、そのまま部屋を出た。
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