秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
それは、私もかもしれない。
彼に嫌われたくなくて、呑みこんでしまう言葉がある。
「私……伊吹さんにもっと近づきたい」
「俺もだよ、悠里」
彼が優しく微笑んでくれると、私も笑える。
「帰ってきて、くれるか?」
彼のひと言に、私はコクンとうなずいた。
それから帰った彼の部屋は、たった一日留守にしただけなのにもう懐かしく感じた。
それくらい私にとって長い一日だった。
「悠里」
リビングに行くと、彼はすぐに私を抱き寄せる。
「ずっと俺のそばにいてくれ」
懇願、のような彼の囁きは私の涙を誘う。
私も離れたくない。
戸惑いから始まった恋人関係。
でも、今彼は、かけがえのない人になっている。
「はい」
私も彼の背中に手を回しギューッと抱きつくと、彼はいっそう手の力を込めた。