秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
もうダメだ。
私の心は完全に彼に奪われてしまった。
どれだけ素敵な女性が現れたとしても、彼を渡したくない。
私がそう返事をすると、彼はやっと腕の力を緩めた。
そして……。
「愛してる」
一点の曇りのない彼の瞳が私を捉え……唇が重なった。
ポロポロ涙がこぼれていく。
人は幸せだとこんなに涙が出るのだと、彼が教えてくれた。
「どうして泣く?」
「……幸せ、すぎて」
私がそう言うと、彼は頬に伝う涙にキスをする。
「俺もだ。俺も幸せすぎて、どうかなりそうだ」
彼はそう言うと、優しく微笑んだ。
「悠里、疲れただろう。明日も仕事だ。もう寝ろ」
時計を見るともう午前二時。
さっきウトウトしてしまったから、まぶたが降りてきそうというほどではないけれど、きっとベッドに入ったら眠れる。