秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「はい。でも、このバラを活けてから」
「そうだな」
抱えきれないほどのバラは、この間雑貨店で購入した花瓶に納まった。
「きれい……」
「悠里の方がきれいだ」
彼の発言はいちいち私の鼓動を速める。
しかも、うしろから私を抱き寄せる彼の吐息が耳にかかって、胸が苦しいほどだ。
「今日は寝よう」
「はい」
彼の充血した瞳は、昨日私と同じように眠れなかったことを示している。
今晩はまた接待だ。
一分でも早く眠らせてあげたい。
着替えて寝室に行くと、彼はもうベッドに入っていた。
「伊吹さん?」
彼にそっと声をかけると、目を閉じたまま手を伸ばしてきて私を捕まえ、腕の中に誘う。
「ずっとこうしていたい」
それは私も。
彼の大きな胸に頬をくっつけると、彼の寝息がすぐに聞こえてきた。
こんなにヘトヘトなのに私のために走り回ってくれたんだ。
そう考えると頬が勝手に緩んできて、私も目を閉じた。