秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
昨日ダメ出しを食らった原稿は、夜遅くまで頑張ってなんとか仕上げてある。
それを渡すと、高畑さんは時計に目をやった。
もうすぐ終業時間の十七時半だ。
「これはチェックしておく。もう今日は帰れ」
「いえ。まだやることがありますし」
明日の準備が終わっていない。
「そんなにむくんだ顔でいられても困る」
「は……」
むくんだ顔?
たしかに今朝のことがあったからか、体が冷えたまま温まらず、だるい。
でも、一応レディに向かって『むくんだ』って!
「明日休まれると困る」
「休んだりしません」
なにを根拠に。
「いいから。上司命令だ」
なによ。厄介払いってこと?
まだ社長も聡さんも仕事をしている。
それなのに私だけ帰るなんて……と思ったけれど、『上司命令』なんて言われてしまうと、帰るしかなくなった。