秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
本当にこの人は……。
おっとりしているように見えて全然そうじゃない。
隅々まで他人を観察して、ちょっとした心の動きも見逃さない。
これぞ社長の器なのだろうか。
「わかり、かねます。失礼します」
私は逃げる様に部屋を出た。
「ふぅ」
聡さん、なんだか楽しそうなんだけど……。
私と伊吹さんをくっつけたがっていた節があるから、喜んでくれているのかな。
でも、恋人が隣にいるからといって仕事は仕事。
「よし」
気合を入れ直して、秘書室に戻った。
それからしばらくして、社長たちに同行するために伊吹さんは出ていった。
私もすぐに席を立ち、玄関へと向かう。
そして、車のドアを開け待っていると、社長と聡さん、伊吹さんがやって来た。