秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「いってらっしゃいませ」
いつものように頭を下げ、車が見えなくなるまで見送ると、再び社屋に戻る。
それからしばらくスケジュールの確認作業をしていると、電話が鳴った。
「宮城コーポレーション、秘書室広瀬です」
『高畑だ。社長がデスクの上に書類を忘れられた。取りに帰ると間に合わない。届けてほしい』
「わかりました。すぐに出ます」
時計を確認すると、約束の十時半までなら間に合いそうだ。
すぐにタクシーを手配して、指定された赤いファイルを持ち、会社を飛び出す。
会食予定のホテルまでは、おそらく車で四十分ほど。
ギリギリ間に合うはず。
と、思ったけれど……。
「お客さん、事故みたいです」
突然タクシーは動かなくなってしまった。
「事故? 急いでるんです。回避できませんか?」
「そうですねぇ」