秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
運転手はしばらく考え込んだ後、地図を広げた。
「一キロほど先まで行くと回避ルートはありますが、まったく動かなくなってしまったところを見ると、それもすぐには難しいかもしれません。あとは……思い切って戻ってまったく別ルートか……。そうすると一時間はかかります」
それでは間に合わない。
絶対に遅れる訳にはいかない。
「他のルートはありませんか?」
「ここから八百メートルほど先に地下鉄の駅がありますよ。電車の方が早いかもしれません」
「本当ですか? それじゃあ、ここで降ります」
駅の場所を聞き、すぐにタクシーを降りて走り出した。
慌てて出てきたこともあって、コートを着てくるのを忘れてしまったので、冷たい風が頬を突き刺してくる。
でも、そんなことを気にしてはいられない。