秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「すぐに靴もご用意いたします」

「いえ、そんなことまでしていただかなくても……」

「高畑様に御代はいただいております。サイズは二十三センチとお聞きしておりますが、お間違いはありませんか?」


私の靴のサイズまで知ってるんだ……。


「はい。お願いします」


それから足のケガを治療してもらい、しばらく待っていると、わざわざデパートからパンプスを取り寄せてくれるので驚いてしまった。


「すみません。本当にありがとうございます」

「いえ、お帰りはタクシーでと高畑様からのご伝言です。只今玄関に回します」

「えっ……あの……」


私たち平社員は、特別なことでもない限り移動にタクシーを使うなんて許されない。
今日のような不測の事態は仕方がないけれど、帰りは電車を乗り継いで帰るつもりだった。
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