秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
それでも、やっぱり疲れてしまった。
今日は彼に甘えよう。
初めて彼に会ったときも、足を血だらけにしてたんだっけ。
帰りのタクシーの中で彼のコートを握りしめ、そんなことを考える。
成長してないな、私。
でも今頃きっと彼がポーカーフェイスで社長をサポートしているのだと思うと、なんだか誇らしい気持ちになって、思わず笑みがこぼれる。
会社に帰って二時間ほどして、伊吹さんは戻ってきた。
珍しくバタバタと秘書室に駆け込んできた彼は、真っ先に私のところに来てくれた。
「広瀬」
「大丈夫です。ご配慮、ありがとうございました」
彼の辛そうな顔を見るのが嫌で口角をあげてみせると、彼は「はー」と大きな溜息をついた。
なんだか心配をかけてばかりだ。