秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
それを言うなら、私。
梶さんのことで家を出たとき、あんなに絶望的な気分だったのに、こうして彼に抱きしめられているのが信じられない。
「伊吹さん……」
胸がいっぱいで我慢しきれなくなった涙がシーツに吸い込まれていくと、彼は少し苦しげな顔をして私を見下ろした。
「悠里。俺についてこい。絶対に幸せにする」
もうなにも言えなくなって小さく何度もうなずくと、「かわいいな」と囁かれて照れてしまう。
「悠里、好きなんだ。もう離したくない。一緒にいてくれ」
いつもは冷静な彼の、なりふり構わぬ言葉は激しく私を揺さぶる。
「私も、です。もう伊吹さんなしでは生きられない」