秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

それから数日。
私は聡さんの仕事を少しずつひとりでするようになった。


「広瀬。この書類、一枚抜けてるぞ」

「すみません!」

「お前、寝不足なんじゃないのか?」


伊吹さんはイジワルな笑みを浮かべる。
でもそれは、間違いなく夜にお仕事をこなすあなたのせいです!

書類を整え聡さんのところに持っていくと、まだ完全に引継ぎが済んでいない伊吹さんもやってきた。


「聡さん、ネクタイが曲がってます」


さすが完璧秘書。
私はそんなことまで気がつかなかった。


「本当ですね。直しましょうか?」


私が手を出そうとすると……。


「聡さん、自分でできますよね」

「あっ、そうだね、もちろん」


聡さんは伊吹さんにそう言われて、慌ててネクタイを直す。
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