秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

「広瀬さん、この日は空いてるかな?」

「空いております」


聡さんは私に聞いたのに、すぐさま伊吹さんが答えた。


「あはは。それなら大丈夫」


聡さんは苦笑している。

なんだか今日の伊吹さんは変だ。
ピリピリしている。


「それでは失礼します」


そしてカチカチの表情のまま伊吹さんは出ていった。


「はぁ、やっぱりまずかったな」


すると聡さんは大きな溜め息をついている。


「あの、なにか?」

「あぁ、昨日……会議で高畑さんと一緒だっただろ?」


社長も聡さんも同じ会議に出席したから、高畑さんひとりでふたりの秘書をこなしたはずだ。


「珍しく早く終わったから、高畑さんとランチを食いに行ったんだよ」


それは知っている。
< 349 / 370 >

この作品をシェア

pagetop