秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

今更ながらに、伊吹さんの体力と精神力を尊敬する。

その日、彼が帰ってきたのは、二十一時近かった。


「おかえりなさい」


今日は彼の好きなハンバーグを用意して待っていたけれど……。


「ただいま」


ニコリともせずそう言った彼は、すぐに着替えにいってしまった。

いつもは額にキスされるのに……やっぱり機嫌が悪い? 
それとも、体調?


私が八坂さんに褒められたくらいで怒ったりするわけがないと思った私は、ハッとした。

体調が悪いとイライラするものだ。
そもそも彼は働きすぎなのだから、体調を崩したとしても不思議ではない。

着替えてリビングに戻ってきた伊吹さんは、少しも視線を合わせようとしない。
もしかしたら体調不良を隠そうとしているのではないかと、少し焦る。
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