秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
「伊吹さん?」
私は彼に歩み寄り、額に手を伸ばす。
熱はないようだ。
「どこが悪いんですか? もう、寝ますか?」
矢継ぎ早に質問をすると彼は驚いた顔をして、やっと私に視線を送った。
「いや……」
「調子が悪いなら言ってください。ごめんなさい。気づかなくて」
「いや……」
どうしたらいい?
こんな時間に病院は開いてないし、やっぱり寝るのが一番?
ひとりで焦っていると、彼は呆然と私を見つめる。
「なんでも、ないぞ?」
「えっ!? でも……今日、変でしたよ?」
思わず『変』なんて言ってしまった。
「あっ……いや……」
珍しく歯切れの悪い伊吹さんは困ったように眉をひそめて、顔を伏せてしまった。
そして大きく息を吐きだし、観念したかのように口を開く。