秘書室室長がグイグイ迫ってきます!
いつもとは形勢逆転。
こんなこと、初めてだ。
伊吹さんはそう謝ると、私を強く抱きしめた。
「ごめん、俺……悠里のことになると、なにも考えられなくなっちまう」
あんなに完璧な秘書なのに。
「私は……早く伊吹さんに追いつきたいんです。だからお仕事も頑張って、褒められるようになりたい。でも、伊吹さんがそんなことで怒るなら、どうしたらいいのかわかりません」
「ごめん。そうだよな……」
こんなに弱気な彼を見たのは初めてだ。
「でも私、伊吹さんが褒めてくれるのが一番うれしいの。伊吹さんがいてくれるから、頑張れるの」
全部あなたがそばにいてくれるからなのに。
「悠里……。お前、そんなに俺のことを……」
あっ、しまった。
どさくさに紛れて、盛大な愛の告白をしてしまったような……。