秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

高畑さんは、見た目はいい男に違いないけれど、とにかく怖い。

少しでも気を抜くとすぐにバレて、「余裕だな」とボソッとひと言。
これなら思いっきり叱られた方がマシかもしれないと思うような圧力がかかる。


「高畑さん、社長の明日のスケジュールですが……」


秘書室に戻ってきた高畑さんに恐る恐る話しかける。


「少しハードだな。例のもの、頼んだぞ」

「わかっております」


明日の手土産を用意しろと言われているのだ。


「午後ですが、会議の時間が十五時から十六時に変更になったと連絡がありました」

「ふー」


私がそう告げると彼は大きな溜息をついている。

無理もない。
社長のスケジュールはすでに満タンで、パズルを組み合わせるように高畑さんが調整しているのだから、ひとつずれると大変だ。
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