秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

高畑さんは大きな口でどんどんカツ丼を食べ進む。


「高畑さん、夕食はいつもどうされてるんですか?」

「だいたいこんな感じだ」

「こんなって……お弁当?」


私たちは接待に同行しておこぼれにあずかることもあるけれど、昼食は基本的に社長や聡さんの仕事の合間にササッと済ませる。
だから、その時間すらないときは抜くこともしばしばある。

それなのに、夕食もこれだけで済ませているなんて。


「それじゃあ高畑さんが病気になっちゃいます。絶対に栄養が偏ってますよ」


私が思わずそう言うと「心配してくれるんだ」とつぶやかれて、ドクンと心臓が跳ねる。


「そ、そうです。だって高畑さんの心配は、私の仕事なんですよね?」


彼が私を心配してくれるように、私も彼が心配だ。
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