秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

『こんなところ』とはちょっとばかり失礼だけど、高畑さんに彼女がいないなんて、これまた驚きだった。
だって絶対にモテそうなんだもの。


「それとも、お前がその役割も果たすか?」

「えっ?」


一瞬、彼がなにを言ったのか理解できない。

唖然としていると、素早く私の首のうしろに手を回し、自分の顔の近くまで私を引き寄せた彼が「キス、してやるぞ」と、ちょっと艶めかしい瞳を私に向けるから、完全に思考が停止した。

すると彼が私をいっそう引き寄せるので……。


「な、なにしてるんですか!」


渾身の力で顔をそむけた。


「まだ純情なお前には早いか」


そういう問題?


「わ、私は好きな人としかそういうことはしません!」


高畑さんはそうじゃないかもしれないけど、私は好きな人としか、絶対にイヤ。
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