秘書室室長がグイグイ迫ってきます!

私はすぐに車の手配を済ませ、玄関に向かった。
そして、後部座席のドアを開け社長と高畑さんを乗せると、深くお辞儀をして見送る。


「私、役に立ってるのかな……」


私以外の秘書は皆ベテランで、中には三十四歳の高畑さんより年上の人もいる。

入社してから秘書一筋の高畑さんは、あっという間に社長のお気に入りとなり、昨年室長に大抜擢されたらしい。

自分より年上の部下をうまく使いながら、滞りなく業務を進める彼が眩しすぎて、自分の存在価値を見いだせない。


「はー、とにかく頑張ろう」


一応、高畑さんにスカウトされた形の私が失敗ばかりしていると、彼の信用までなくなってしまう。

せめて、足は引っ張らないようにしないと。
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