《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「そのヘルメスは実在する、そしてその娘がその証だ」
「私が……?」
全員の視線が私に集まった。
それが、たまらなく居心地が悪い。
「その胸の時計は娘の心臓として動き、人形という器に命を与えた。まさに、神の御業だ」
「なっ、カトレイヤが人形って、本当だったのか……?」
驚いて言葉も出ないカイが、ただ私を見つめて固まっている。
「さぁ、その娘を渡せ」
「……………」
カイは、何も言わない。
その横を、男達が通り、私に手を伸ばす。
私が人形だと知って、幻滅した?
人でないから、同じでないと一緒にいてはいけないのかな?
絶望感に似た感情が、胸に渦巻く。
そして、男達の手が私に触れそうになった瞬間ーーー。