《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「逃がすな、追えーー!!」
「チッ、面倒くせー!しつこい!!」
私の手を引いて走るカイが、うんざりしたように舌打ちをする。
カイだけなら、きっと逃げきれただろう。
でも、私はドレスだし、足も早いほうじゃないみたい。
このままだと、私のせいで追い付かれちゃう……。
「カイっ、私のこと、置いてって!」
「は!?馬鹿な事言ってんなよ、それよりカトレイヤ、少し我慢してろよ!」
「えっ、わ!?」
すると、カイは私の言葉を無視して、私の体を脇に抱え込んで走り出した。
まるで、荷物を運ぶように担がれている。
なのに、全然スピードが落ちないし、むしろ早くなっていた。