《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「お前は、人形じゃない。1人の女だ、ちゃんと笑ってたし、寂しそうな顔もする、俺たちと何も変わらねぇのに……っ」
「変わら……ない……」
どうしてだろう、今すごく、泣きそうな気がする。
人形の私は、泣いたりしないのに、どうしてこんなこと思うの?
ーーーー自分で自分が分からない。
「なんで、もう時間が……全然ねぇじゃん…っ」
「………カイ……」
もっと、カイといられたらいいのに……。
どうして私は、カイと同じには、なれないんだろう。
お父様、ねぇ、どうしてですか……?
「残された時間、カトレイヤのために何がしてあげられるのか、よく考えるんじゃよ、カイ」
「…っ、そんなん、分かんねぇーよ……」
それっきり、俯いてしまうカイに、私はなんて声をかけていいのか分からなかった。