《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「とりあえず、カイ、この子が倒れていた時計台にカトレイヤを連れて行ってあげるんじゃ」
「なんでだよ……」
俯いていたカイは、少しだけ顔をあげて、サイモンに視線を向ける。
「この子が止まってしまっても、この子を狙って攫おうとしてくる輩はたくさんおる。それを、ヘルメスはだまって見ておらんよ」
「何が言いたいんだよ、じいさん」
「この子にお父様と呼ばせているくらいじゃ。簡単に攫わせたりしないだろう。だとしたら、この子が目覚めた場所に、この子を迎えにくるはずじゃ」
お父様が、私を迎えに……。
その時、きっと私はもう……この世にはいないんだろうな。