《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「カトレイヤ、出会えたのも何かの縁。また、出会えると信じているよ」
「うん……」
おじいちゃんがいたらこんな気持ちなのかな……。
もう2度と会えないかもしれない、ううん、会えない。
だけど………そんな未来を信じるくらいは、許してほしい。
「ありがとう、サイモン」
さよならは言わずに、感謝を伝えたかった。
別れの悲しみよりも、ありがとうという気持ちを、残したかったから。
そんな私を、サイモンは優しい笑顔で見送ってくれた。