《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
そう思った瞬間、私は何が何でも逃げ出さなきゃと思った。
そして、私の口を覆う手を、思いっきり噛む。
「いてててて!!何しやがる!?」
「カイ!!」
男の手がゆるんだ瞬間に、私はその腕から抜け出し、カイの元へと走った。
「来い、カトレイヤ!!」
「うん!」
伸ばされた手を取るのは、何度目だろう。
そんなことを場違いながら考えた。
触れ合った瞬間に強く引かれる。
その時、カイの後ろの男が、銃を構えたのが分かった。
その銃口が、こちらを向いてるカイの背に向けられている。