《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「ここからの景色は綺麗だぞ、見せてやる」
「あっ……」
そのまま手を引いて、柱と柱の間に連れて来られた。
そして、そこから見える景色に目を見張る。
「き…れい、本当に……」
レンガの屋根が並ぶ、レンガ造りの建物が狭い小道沿いにもずらっとあり、青空の澄み渡る青を引き立たせた。
石畳の歩道と歩道沿いにあるガス灯がいくつも立っていて、一つの芸術を見ているかのような美しさだった。
「この時計台はこの国で一番高い建物だからな」
「すごい……空が、近くに感じる…」
空へと手を伸ばし、一歩前へと足を踏み出す。
手を伸ばせば、すぐにでも触れられそうな錯覚を起こした。