《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
そして、もう1歩と足を進めた途端、グラリと体が前へと倒れた。
足場が無くなった事に気づいた時にはすでに上半身は宙へと投げ出されている。
「あっ…」
「あ、おい、カトレイヤ!!」
名前を呼ばれたかと思うと、強く腰を引き寄せられる。
ードスンッ
「って……危ねぇーだろ!?」
私を後ろから抱き寄せてくれたのは、カイだった。
背中越しに、カイの体温を感じる。
「うん」
頷いてみせると、ホッとしたようにカイは私を抱きしめる腕の力を抜いた。
「うん、じゃねー。あのなぁ、カトレイヤ、ボーッとしてると危ないだろ、落ちたらどうするんだよ」
まるで子供をいさめる親のように、私に言い聞かすカイ。
心配を、かけてしまったのかな……?