《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「あぁ...俺も、こんなに胸を焦がすほどの感情が自分にあるなんて、思わなかった」
「...そっか、なら私たち、初めて人を愛せたんだ...」
カイにも、初めての感情をあげられたことが...こんなにも嬉しい。
「カトレイヤ、目閉じてろ...」
近づくカイと顔に、緊張しながらも、私は身を任せた。
カイは、私に愛しかくれない、傷つけたりなんてしないから、私は全てをゆだねられるんだと思う。
「んっ...」
そして優しく振れた唇。
空っぽだった器に、温かい心の泉が満ちていく。
カイがくれた宝物、大切にしたいな...。
優しく抱きしめられながら、私は始まりの場所で初めて大切な人と繋がったのだった。