《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「小さい時、スラムで捨てられた俺は、人には自慢できないような汚い仕事で食ってたんだよ」
「それ、聞いてもいい?」
「別に。面白い話でもねーよ?」
「どんな話でもいい、私はカイのことが知りたい」
心からそう思った言葉でった。
私の知らないカイのことを知りたい。
これは、私がカイを好きだからかもしれない。
「依頼されれば盗みもやる何でも屋、その時に体術も銃もナイフも扱えるようになったな」
視線は星空に向けられているのに、どこか遠くを見つめているカイを、私は見つめた。
今、何を考えているんだろう。
カイにとって過去は、辛いものだったのかな?