《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「不思議なんだけどな、俺がスラムに生まれたことも、じいさんの弟子になったことも、運命だったんだと思える」
「運命...?」
「そう、全部お前と出会うための運命」
「カイ...」
カイが、そんな風に考えてくれてるなんて..。
「だから、あの辛い日々も、大切な俺の一部だって言える」
「...私も、人形として生まれたこと、たとえあと数時間しか生きられなくても...」
悲しくて、息苦しい。
時刻はすでに23時を回っている。
気にしないようお互いの話で気を紛らわせていたけれど、やっぱりちらつく。
これから来る別れが...。