《短編》時計仕掛けのカトレイヤ
「おはよう、カトレイヤっ...」
「...おは、よう...カイっ」
泣いている大切な人へ手を伸ばした。
触れると、体温が混じり合った。
もう、胸の時計は動かない。
代わりに動くのは、在るはずの無かった心臓。
「愛の起こす奇跡の錬金術が、カトレイヤを人間にしたらしい。もちろん、対価を払い続けないといけないけどな」
「人に...って、対価って?」
まさか、カイが何かを犠牲に私を生かしていたとしたら...。
そう思ったら、不安でたまらなくなる。