空から君へ愛の手紙を。

だからお願い。

もう、ワガママは言わないから。

だから、私に最後の大会を走らせて下さい。

「それは…ごめんなさい。許すことはできません。」

「でもっ、もうこれが最後だから。だからっ…」

「それでもダメよ。」

初めてだった。

「よく聞いて?小宮さん。私はあなたのこれからが大切なの。最後の大会だからって、走ることを許してしまったら…あなたは2度と走れなくなるかもしれない。もしかしたら、今回は運が良かったけど、腫瘍ができてしまうかもしれない。出血多量で死んでしまうかもしれない。」

先生がこんなにも真剣に話してくるのは。

知ってる。知ってるよ。

そんなこと、知ってる。
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