唯一息ができるのは、君の側だけだった
「あっ!やべ!ぐちゃぐちゃになったかもしれん。」



「なに?」



「目つぶって手出して。」



「なにー?ぐちゃぐちゃになったものくれるの?」



目をつぶりながら笑ってしまった



「まぁそう言わんといてー。」



「変な関西弁だなー。」



「はいっ!」手に重さがなくて何かわからなかった



「目開けていいよ!」



緑色の何かが目に飛び込んできた



「あ!四葉のクローバー?すごい!」



「今日待ってる間に見つけた。ポケットに入れてたから葉っぱとれたらどーしよーって焦ったー。余計な汗かいたわー。ふぅっ。」




嬉しくて手の中にある四葉のクローバーをしばらく眺めてた




「これで四葉のクローバー見つけた俺も、貰った陽子もぜってー幸せになれるってことだよな!」



「うん。あ、スケッチブックに挟んでおこうっと。」



「スケッチブック持ってきたの?」



「あ、これ見て。」



「すげー!!前に見た夕焼け空だ!マジですげー!!!」



スケッチブックを持ちながら立ち上がってすげー!すげー!と言う蓮に私は笑ってしまった



「大げさだよ。笑」



でも本当は嬉しかった



全身で気持ちを伝えてくれる蓮が同い年なのになんだか可愛くて仕方がなかった



蓮の笑顔を見ると元気になるんだよ



いつも形にできないものを貰ってたね



息苦しい毎日の中で唯一、息ができる場所は蓮の側だけだったよ



それが私にとってどれだけ救いになったか知ってる?



はじめてもらった形のあるプレゼントはこの「四葉のクローバー」だったよね



今も大切にスケッチブックに貼ってるんだよ



なんて言ったら蓮はきっと「マジで?すげー。」って照れ笑いしそうだね
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