唯一息ができるのは、君の側だけだった
冷静さを装って蓮に話かける



「あ、あのさ~人気だからチケットってなかなか取れないんじゃなかった?」



「そう!じゃじゃーーん!!」



チケットが2枚!



「すごい!!取ってくれたの?」



「そ!マジ大変だったよ!」



「ありがとう。」



「どれくらい大変だったか聞きたい?」



「うん。」



「まずね、陽子が試験期間中の時に雨降った日があったでしょ。その時にさ、夜バス停で待ってたわけ。傘さしながら。」



「バス停で?何を?チケット譲ってくれる人?」



「トトロ!」



「何それ~」



真剣な顔で話し続ける蓮



「それでさ、トトロが来てさ何かこっちに訴えかけてくるわけ。俺は事前に調べて知ってたからさ、笹の葉で包んだどんぐりを差し出したの。こうやって、そーっとトトロの手の上に置いたんだよね。そしたらこのチケット2枚をトトロがくれたってわけ!すごくない?すごくない?」



「はいはい。すごいすごい。あれだよね?コンビニで事前に買うんじゃなかったっけ?」



「えーなんだよそれ。夢がないじゃんー。俺バス停で1時間も粘ったのにさー。」



「あ、でもさ、あのシーンだよね?雨の日のバス停のシーン。私もあのシーン好きだよ。」



「だからシーンとかじゃなくてさーぁ。本当なんだってばー。」



こんな調子で蓮がずっとおもしろおかしく話してくれたらから楽しくてあっという間に着いてしまった
< 35 / 49 >

この作品をシェア

pagetop