*中津先輩*
無性に泣きたくなってきた。


…そのとき!


「…北原!」

大雨のコートの中に響き渡る声。


顔を上げると、そこに立っていたのは…中津先輩だった。


「中津先輩…!どうして、こんなところにっ…」

「それはこっちのセリフだよ!お前、帰ったんじゃなかったのか!?」

「…そうだったんですけど、コートで物を失くしたみたいで…」

「それでも、こんな雨の中…傘も差さずになにやってんだよ!?」
< 68 / 109 >

この作品をシェア

pagetop