*中津先輩*
でも、そう言う中津先輩も傘は差していなかった。


「先輩だって…」

「俺はいいんだよ!雨に打たれてる北原見つけて、傘なんて差してられっかよ!」

「…先輩」

思わず、目の奥が熱くなった。


「で、なに失くしたんだ?」

「振動止めです…」

「振動止め?そんなの、また新しいのを買えばー…」

「…ダメなんです!あの振動止めでなきゃ…!」


振動止めは、たくさん売っているかもしれない。
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