*中津先輩*
「…突然押しかけてしまって、ごめんなさい。でもあたし…、どうしても中津先輩に謝りたくてっ…」

声が震えた。


「俺に…謝る?」

中津先輩は目細める。


「あたしがあんな雨の日に、先輩をー…」

「北原!」


あたしの声を遮るように、先輩があたしの名前を呼んだ。


「謝んな」

「…え……」

「謝んなくていいから、さっさと部屋から出て行け」


この瞬間、あたしの目の前が真っ暗になった。
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